野菜を食べる

野菜を食べる
ウエルネスアカデミー理事 前田泰一
2016/6/1
野菜を食べたほうが良いと誰もが思っています。健康日本21では、1日350gの野菜を、そのうち120gは緑黄色野菜を食べましょうとの提案をしています。
けれども大半の日本人は、この量を食べていません。この量を食べるについてはいくつかの問題があります。一つには野菜の栄養成分の低下です。成分分析表の数値を見ますと50年前の半分に満たないビタミンやミネラルが多く存在します。これにはいろいろな原因がありますが作る工夫によっては解決できる面もあります。
もう一つには硝酸態窒素の問題があります。硝酸態窒素を大量に摂取すると体内で腸内細菌により亜硝酸塩に変化し、これが体内に吸収されてヘモグロビンをメトヘモグロビンに変えてしまい、酸素欠乏症を引き起こしたりします。事実、EUでは乳幼児が高濃度の硝酸態窒素を含む地下水の摂取により亡くなっています。それでEUでは野菜における基準値が示されています。
また2級アミンと結合して発がん性のあるニトロソアミンが生じる問題があります。
植物の硝酸態窒素の濃度は、環境汚染のバロメーターでもあり、数値が高ければ土壌や水に窒素分が多くなり、地下水汚染を引き起こします。
日本では硝酸態窒素の野菜における基準値は示されていませんが、野菜自体は食べたほうがよいが硝酸態窒素はなるべく摂りたくないというのが実情です。
では、私たちはどんな野菜を選べば良いのでしょうか。見た目ではわかりません。野菜の新鮮さを見分ける方法はいろいろ言われていますが、硝酸態窒素の量を見分ける方法はありません。けれども食べて美味しい野菜は硝酸態窒素の量が少ないと考えられます。日光を浴びた野菜は、硝酸態窒素を光合成でアミノ酸に変え旨みも増すと考えられます。
そうすると朝採り野菜と夕採り野菜では、作る側の面倒は別として夕採り野菜のほうが美味しく健康に良いのではないでしょうか。
上に挙げた野菜のミネラル・ビタミンの含有量や硝酸態窒素量については作り手の顔が見える野菜を食べたいものです。結局、地産地消が一番ということになります。