LEDを考える

LEDを考える
ウエルネスアカデミー理事 近藤矩朗
2016/4/1
皆さんは家庭の照明にLED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)を使っていますか。
私はこれまでに5個のLEDランプを購入しましたが、3つは使用開始まもなく切れてしまい現在は2つだけ使用しています。 LEDの長所は消費電力が少ないことと寿命が長いこととされていますが、現実は?ということです。
LEDは様々な発光色のランプが市販されていますが、一般家庭で使用される白色LEDは青色LEDに蛍光体を組み合わせて青色から緑、黄、赤に照射光の波長を広げたもので、人の目には白色に見えますが、青が強く、赤は弱くなっています(図1参照)。

図1 太陽光と白色LEDの波長と光強度
物の色は反射光の色を人の目が感知して決まりますので、赤色光が弱いと赤い物が暗く(黒ずんで)見えます。 人の目が色を感じるセンサーである錐体は3種類あり、青色、緑色、赤色を感じます(図2参照)。

図2 ヒトの視覚の色覚感度と明所光感度
このうち赤色センサーは短めの波長(橙色)をよく感知し、長めの波長(赤)はあまり感じません。白色LEDは長波長の赤色光はあまり出しませんが、人の目の感度の低い光領域であるため、あまり不自然には感じないでしょう。
人の目は緑色に感度が高く、赤と青には低くなっています。白色LEDは人の感度が低い青色で明るさを稼いでいるので、人の目や脳に負担をかけ、悪い影響がでる可能性があります。LEDを使用していく場合、注意が必要でしょう。
電球色LEDも家庭照明用に市販されています。これは緑~赤の領域を強くしたもので、黄色と橙色が特に強くなっていて上記の問題は幾分改善されていますが、あまり明るくは感じません。
人の目には自然に見えても、他の用途に用いる場合には注意が必要です。
例えば、植物栽培には、青色LED、赤色LED、遠赤色LED、近紫外LED等をうまく混ぜて使うことが必要です。 電球色LEDを利用する場合でも、光合成のために赤色光を増強する必要がありますし、花の色素生成や、人の健康に必須のビタミンや他の健康成分の生成のために300nm付近の近紫外光が必要です。
なお、300nm付近の近紫外光は同時に遺伝子損傷をも引き起こします。損傷が修復されなければ生物は生きていられません。植物の遺伝子損傷の修復には400nm付近の光が必要です。